2007年5月20日日曜日

05/22(火)分のレジュメ

 こんにちは、金田です。教育基本法の改正について調べました。22日に発表するときのレジュメの骨格が完成したので公開致します。(多分当日は少し手直しをしたレジュメを配れると思います)
 今回短い時間でしたが、教育基本法の改正について少し本を読んだ結果、どうやらこの教育基本法の改正には、政府(行政権力)による国民意識の統一を目指すものという側面があるということが分かりました。法学とは脱線してしまうかもしれませんが、皆さんと国家と教育のあり方などを話し合えたらうれしいです。
 各自で教育基本法の新旧対照表を用意していただけたら、発表がしやすくなりますのでご協力お願いします。


法学特講レジュメ                            2007/05/22(火)
§2 改正教育基本法
担当:金田 航



1. 教育基本法改正の流れ

・1947年3月、連合国軍総司令部(GHQ)の占領下に制定
・1982年、中曽根康弘内閣が、臨時教育審議会(内閣総理大臣の諮問機関)で改正の審議をしようとしたが失敗
  → 改正を使用とした動きは以前からあった
・2000年、小渕恵三内閣が設置した「教育改革国民会議」が教育基本法の改正を課題とする
・同年12月、森善郎内閣「教育を変える17の法案」の17番目「新しい時代にふさわしい教育基本法を」という項目の下発端する
・2006年4月、小泉純一郎内閣で改正案を提出。しかし、7月閉会(通常国会)で審議終了
・2006年12月15日、安倍普三内閣で改正案が参議院通過し成立(12月22日施行)
  → 小泉・安倍政権から始まったわけではなかった




2. 教育基本法改正のポイント

・11カ条から18カ条に増えた
・新たに8つの項目が加わった〔生涯教育の理念(第3条)、障害者教育(第4条第2項)、大学(第7条)、私立学校(第8条)、家庭教育(第10条)、幼児期の教育(第11条)、学校、家庭及び地域住民等の相互の連携教育(第13条)、教育振興計画(第17条)〕
・「真理と平和を希求」 → 「真理と正義を希求」(前文)
・「伝統」の継承・尊重が入った(前文・第2条第5号)
・「愛国心」の育成が入った(第2条第5号)「我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度」 → 社会科の指導要領に影響
・「(教育を受ける者が)規律を重んずる」(第6条)
・「教員」に関する規定が独立(第9条) → 教職免許法の改正との関連
・「教育は~(中略)~この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり」(第16条第1号)
・「教育行政」(第16条)の内容増、「教育振興計画」の新設(第17条) → 地方教育行政の組織及び運営に関する法律(地方行法)の改正との関連
・教育基本法 ・・・「教育の憲法」
  この法律改正ですぐに現場が変わらないが、この改正に付随して教育関連法規〔ex,教育3法改革(学校教育法・教員免許法・地方行法)〕や学習指導要領が改正されることになる




3. 論点

 3.1 愛国心教育と精神の自由
・「愛国心」とは具体的に何を示すのか?また、どのような態度を示すのか?
  → 東京都の国旗国家の強制など政府が特定の政策を行う場合、それに協力するということが愛国的だと評価する事も可能
・「愛国心」の評価という問題
  → 悪い成績評価で脅しをかけ、学校側が望む「愛国心」を強制することになる 
・・・思想・良心の自由に対す侵害
    「態度」で評価したとしても、「態度」の良し悪しの基準は評価する側(権力)によって決められる可能性がある

 3.2 国家(行政)と教育の関係性
・「愛国心」や「国民としての自覚」というものを示す「態度」を国(権力)に存在するとしたら、教育が国民意識や精神を統一するためのマインド・コントロールになる可能性がある
  → 改正により行政が教育に介入しやすくなった・影響力が強くなったのでは?
   教育は行政を円滑に行うための道具・手段なのだろうか




【参考文献】
辻井喬・藤田英典・喜多明人 編,2006,『なぜ変える?教育基本法』岩波書店.
教育学関連15学会共同公開シンポジウム準備委員会 編,2006,『教育基本法改正案を問う』学文社.
大崎素史,「教育基本法改正の背景とポイント」『教員養成セミナー』2007,第339号,46-48貢,時事通信社.
坂田仰,「法律が変わっても教育の本質は変わらない」『教員養成セミナー』2007,第339号,49-50貢,時事通信社.

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